タクシードライバーの考察

渋谷駅のタクシー乗り場を見ていた
平日の昼間なのに、長蛇の列・・・
電車もバスも頻繁に走っているにも関わらず。
タクシー待ちをしている多くはインバウンドの外国人という訳ではない。スーツケースではなく荷物は皆小さい。 きっとタクシーを使う人が増えたというより、タクシーの台数が少ないのだと思う。

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地方のタクシー会社は、苦戦中だが 都内ではタクシーの日商が60,000円を超えてきたらしい。 凄い事だと思う。

勿論、燃料費や保険代など諸処の経費が掛かるが、働く側の収入で考えれば悪くない業態に入ってきている。 嫌な客や酔っ払いも乗せなければならないが、車の運転が好きなら悪い職業では無いと思う。

元々、バスの運転手やタクシー運転手は転職組が多く、年齢も高めの職種。 何処の営業所も昔から乗務員の平均年齢50歳以上だと思う。
会社を定年退職した人が、これからパートやアルバイトとして乗務するのには、すごくいい仕事になったと思う。 なんにしろ運転手不足で営業所には、車輛はいくらでも余っている。経営者は1台でも多く走らせたいのが本音。 働く側も、定年後に就労の義務が無いのであれば、休みは自由になるし、ガツガツ働く必要もない。 嫌な組織も、難しい人間関係も必要ないし、日当だけでそこそこ稼げる。
年金も貰ってアルバイトで月間で10日も乗務すれば、 週2回程度は趣味のゴルフが出来るような、そこそこの生活は出来るんじゃないだろうか?

近未来に自動運転の時代が来る可能性はある。 タクシーも例外ではないと思う。 それでも向こう20年間は有人タクシーは無くならないと思う。 無人化のその時まで、自分は生きているかどうか・・・・
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タクシーに乗るには2種免許が必要になる。 2種免許取得にハードルが高いように思われるが、普通免許を持っていて、普段も車に乗っていれば難しくはないと個人的には思う。

私の2種免許は教習所ではなく、全て試験場の1発試験で取得してきた。 東京の鮫洲試験場と、府中試験場の両方を経験しています。 一発試験は「難しい」「厳しい」と良く言われるが、試験官は当日の説明もしっかりしてくれるし、人柄も皆優しい。 採点が厳しい訳でもないと思う。 私はバスの試験時に路上でエンストしたけど、お咎めなしだった。
教習所と明らかに違うのは、「練習を1回もしないで」「減点対象や、コツなどを教えてくれる訳でもなく」 いきなり教習所の卒業試験と同じ内容を、「初めて乗車する車で円滑に操作しなければならない事」だから。
逆の発想にして考えれば、「レンタカー借りて、エンジン掛けてから、上手に運転」すればいいだけという事でもある。

皆さんが興味があるかは別として、今回は私のタクシー(普通2種)を鮫洲の一発試験で取得した話を書いてみようと思う。
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ある日突然思い立って、8:30に鮫洲に向かいました。
AT普通2種(オートマのタクシー免許)を申請します。
理由は、 マニュアル操作だと技術で落とされる可能性がある。ATなら毎日乗っているので、操作には不安はないから。 タクシー会社の車輛は、現在ATが主流でマニュアル2種を取得してもマニュアル車自体がほとんど無いこと。

案内所で流れを聞き、申込書を書いて、写真は試験場の中の自動販売機で撮りました。

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申込用紙を書いて、数千円分をSUICAで払い 免許持ってる人ならわかると思うが、直ぐに視力試験に並ばさせられる。
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2種免許は、両眼0.8 片目0.5以上必要。当然私は眼鏡使用。
これをクリアーすると、もう一つ深視力検査がある。これが曲者。 箱を覗きこむと、3本棒があり、左右2本の棒の間の真ん中1本の棒が手前と奥に行ったり来たりする。中間に棒が来た時、3本並ぶのでボタンを押すのだが、 乱視と左右の視力差がある私のガチャ目には、これが非常に難しい。 3回やって誤差が2㎝以内でなければいけない。

棒が手前にある時は棒が大きく見えるので比較的分かりやすい。 しかし一番奥から手前に棒が戻ってくるときはわかりにくい。 (鮫洲は手前から奥に動いている時だけ中間がなんとなく分かるので、3回とも手前から動く時だけボタンを押せたのだが、 府中でもこれをやったら「奥から手前に棒が戻るときも押せ!」と言われた。かなり厳しい・・)
実は深視力はコツがある。知りたい人は別に聞いて下さい・・

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知らない人が多いが、免許更新でも1日の視力試験は2回まで。 落ちると「眼を休めて翌日来てください」と言われる。
ここで裏技!!
視力検査は同じコンディションで2回という事。 違う眼鏡を持っていって「眼鏡変えました」といえば更に2回受けられる。 コンタクト・眼鏡2本持っていくなら、1日で計6回受けられる。 視力検査合格すると、その日のうちに学科試験を受けられる。

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2種の学科試験は少し難しい。
普通の学科試験と問題が微妙に違って、教習所の学科で教わる以上で知らないことが多い。 でも、「本を買う必要は無い」と思います。YOUTUBEやWEBで検索しておくといいです。 過去問を解くだけで十分覚えます。 私は前日にWEBで過去問を2時間解いただけで、当日は問題無く1回でクリアーしました。

<<例>>
・横断歩道を横断しようとする歩行者がいたが、近づくと立ち止まったので、そのまま走行した。
・同一方向に進行しながら進路を右に変えるときの合図は、進路をかえようとする地点から30m手前の地点からしなければならない。
・上り坂の頂上付近と勾配の急な上り坂は、徐行しなければならない。
・黄色の点滅信号は、安全のため、できれば一時停止して進行したほうがよい。
・タクシーを運転中、交通が渋滞していて気分がいらいらしていたので、気分を落ち着かせるために乗客に断ってタバコを吸った。

ちなみに上記全部 ×
横断歩道の歩行者は最優先。合図は3秒前。急な上り坂は徐行の必要はない。黄色の点滅は注意して進行。タクシー・バスは車内禁煙

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学科を合格すると 技能試験の予約を入れに行くように指示されます。
技能試験は当日は実施できません。 予約制で1か月に1回程度です。 予約を入れて本日はそれで終わりです。

尚、後日電話してキャンセルが出ていれれば、予約日を早める事も出来ます。
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実技は、8:40集合で、3名一組
場内試験が2項目だけ先行して試験があります。鋭角(Vの字を切返して脱出)と、方向転換。 1人が待機のベンチで待ち、1人が試験車の後席に乗り、1人がテスト。
1人あたり10分位の場内試験。 これをクリアーすると、名前を呼ばれて「〇〇さんと△△サンは路上に出ます」と言われます。

路上に出ると、教官が言うとおり走ります。 「次の信号を右」とか「標識に沿って車を停めて」とか・・・ コースは数パターン決まっている様ですが、覚える必要は無いと思います。

2種で大事な事はとにかく安全確認です。 ミラー確認ではダメで、全部顔を向けて目視するパフォーマンスが必要。

もう一つは採点のチェック項目を知る事。 普段、車に乗ってる人なら、オートマですから技術的には全部操作できると思います。 落ちる人は、技術ではなく、チェック項目の内容を知らないので落とされます。 YOUTUBEでいっぱい上がってます。先行して勉強すれば、重要なチェックポイントはほとんどクリアー出来るはず。

<<私が落とされたポイント>>

試験官は試験に落ちた場合は、その減点理由を教えてくれます。
「初めての試験は、場内の鋭角の切り返しで落ちました。 内輪差で縁石に乗り上げて、前に落ちて即座に試験終了。路上へも出れませんでした(+_+)。
縁石乗上げても、バックで戻れば減点のみで試験継続できます」

「2回目の試験は、場内クリアーして無事に路上へ出られましたが、左折時の大廻の減点を指摘されました。左折は曲がる前に、どぶ板(30㎝)まで左に寄せる。ここまではやってましたのでOK。 しかし左折時は、曲がり終えた後も、30㎝まで一旦左に寄せてから車線中央へと寄る。 左折時の巻き込み防止は、左折前も左折後もしなくてはならない」

「信号のない横断歩道は、渡ろうとした人がいる場合は100%停まる(歩行者優先)。 駐車車輛等が横断歩道の前後にある場合、渡る歩行者が直接見えないときも100%停止。私はこれで2回目落ちました。」

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それでも2回落ちましたが、トータル3回の試験で普通2種AT限定に合格出来ました。
試験代は8,000円×3回  期間は約2か月。
2種合格後は、2種の取得時講習(人工呼吸や応急処置・AEDの使い方)6h×2日の30,000円弱が別途必要になります。

結局60,000円弱でタクシー運転手になれました。
はっきり言って普段から車乗っている人なら、教習所行かなくても、試験場の1発試験で十分取れると思います。
「オートマのレンタカー借りて、助手席の人に言われた通り走る」ようなものですから。
AT普通2種免許に必要なのは「技術よりも知識」です。

普通2種取得しても、まだタクシーでの仕事をした事はありませんが、 2種のチャレンジは経験的にも知識的にもいい良い機会になったと思います。
普通2種を取ってしまえば、今後どの自動車免許を取得する際も学科試験は全て免除されます。
ご興味ある人はチャレンジしてみてはいかがでしょうか?



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2023年10月20日付

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