フランチャイズシステム

サンドウィッチファーストフードのSUBWAYが経営の危機に直面している。
国内に400店舗以上あったのに、現在は200店舗。 SUBWAYを20店舗展開するフランチャイジ-(加盟店)の法人会社が倒産もした。
この様な事例があると、本部は一挙に数十店舗を失う。 フランチャイジーが迷惑かけたというよりは、結局は商品力に尽きる。 フランチャイザー(本部)が魅力的な商品を提供できていれば、このような事案は少ない。 もし、加盟法人側が何かのミスをして経営が立ち行かなくなっても、利益が出ている店舗ならつぶさずに本社がそのまま直営化するのはよくある話である。 直営化出来ないという事は、SUBWAYの本社も苦慮しているという事だと思う。

私もフランチャイズシステムはさんざん学校で勉強してきた。
根本的な問題として何故企業はフランチャイズ化するのか?本当に儲かるなら自社で全てを展開した方が良い。 しかし企業にとって店舗展開はコストが掛かる。それならば「商品の権利」だけを渡し、お金を持っている外部の資本家に急速に展開をしてもらおうという考え。 ここで大事なのは「商品の権利」という事。
フランチャイザー(本部)は唯一無二の他社が真似が出来ない商品を持っているか?
また、そのコンテンツを利用して利益を構築できる絶対的な経営のノウハウや蓄積があるかどうか?

そこには通常2つの対価がフランチャイザー(本部)に対して発生する。
「商品の権利を使わせてもらうロイヤリティー」
「利益を生むノウハウに払う加盟金」
更に飲食店などは3つ目として、FCオリジナルの味があれば、食材や調味料など仕入れもフランチャイザーに対して支払う。
何度も言うがFCシステムで大事な事は、「唯一無二の商品」「利益が出る経営ノウハウ」
この2つが無ければ本部としてFCシステムを展開してはいけない。

私は美容業界やゴルフ業界で仕事をしている。今までにFCの話は何回かあった。
特にインドアゴルフ練習場は開設当時に「FCでやらせて欲しい」という人も多く訪問して来た。しかし私は全て断った。
FC本部とは本来加盟店の経営責任も一部を担う。本部はノウハウ提供義務があるので、加盟店の業績が悪ければ対応せざるを得ない。 何故なら加盟店は経営が悪くても本部のノウハウ以外の事は、契約の縛りでやってはいけないからである。
牛丼屋の加盟店が業績が悪いからと言って、ハンバーガーを売る事は許されないのは誰でもわかると思う。

私のゴルフ練習場は東京・新宿という大都会でのビジネスモデル。私にはその経験しかない。郊外や地方都市に私の経営するゴルフ練習場は無い。
FC展開をして、加盟店が経営不振になった時に、改善できるノウハウとその責任を取るの能力は私の会社には無い。
ましてやゴルフ練習場やゴルフスクールというのは秘匿なビジネスではない。オリジナルというよりは誰でもできるものである。 多店舗化のノウハウも乏しく、業務において他社に享受できるオリジナルの経営の蓄積も少ない。 だから現在の私のビジネスではFC展開してはいけないのです。

しかし、私が危惧しても仕方ないが、最近のFCを展開する会社はそこまで考えていない。
コンテンツは何でも良い。ハンバーガーショップでも自動車修理でも学習塾でも構わない。 実際はコンテンツ自体がほとんど儲からなくても良い。儲からなくて困るのは加盟店。
本部は全く困らない。加盟金とロイヤリティーだけが入ってくれば、日々の支出はほとんど無いので本部は赤字にはならない。
とにかく加盟者を増やして「加盟金」と「ロイヤリティー」を徴収する事だけがビジネスになっている会社も多く見受けられる。 物やサービスを店舗展開し大量に販売する事で加盟店・本部共に潤うというフランチャイズシステム本来のビジネスではなく、 コンテンツよりフランチャイズシステム自体(加盟店集め)がビジネスになってしまっている。

FCビジネスを見分ける一つの考え方として、
フランチャイズシステムは店舗展開する事でロイヤリティーが発生し本部にメリットがでる。 その為には加盟金は安価な方が良い。加盟金が安ければ加盟店は集まりやすいので一挙にビジネスが拡がる。
しかし加盟金が値上がったらどうであろう?
当然加盟店は集まりにくい。いわゆる店舗展開のスピードが落ちる。 フランチャイザーの加盟金が値上がるという事は、店舗展開してロイヤリティーでコツコツ入ってくる利益より 本部の直近の利益(加盟料)が重要になっているという事。 もし上記の理由では無く高額な加盟金を必要とするなら、特許や秘匿の詰まった商品ノウハウを提供するという事以外に他ならない。

加盟金が高い、又は、加盟金が値上がる、という事で恐れず私見を言えば・・・
「このフランチャイズシステムは商品力が弱いので加盟店の売上が少ない。ロイヤリティーが少ないので加盟料を高額にしてキャッシュを繋がないと本部が廻らない」 という事でもある。

最近でもゴルフ関連のビジネスでもFCは多く登場している。 頑張っている店舗もいくつか見受けられるが、苦慮している店舗の方が多いように感じる。
一番の問題は本部に経営のノウハウの蓄積が無い。1~2店舗作り実績が無い状態でその後FC展開してしまう。 売上が悪い加盟店が出来ても、本部にノウハウやスーパーバイザーの経験値が無いので経営改善の指導ができない。 加盟店側も本部に言われるがままケースバイケースで対応する経営実験室にされてしまう。
加盟店側の赤字負担は増える。本部も収益のビジネスモデルであるロイヤリティーが十分に取れない。 これでは業界の未来は明るくない。

FCシステム自体は悪いビジネスモデルではない。儲かっている法人は幾つもある。 加盟店だけで店頭公開している会社もある。
しかし知識が無い素人が手を出すと大怪我をする事もある。 月商予測の何倍もの加盟金を徴収するフランチャイザーは要注意。店舗展開より加盟金に興味がある証拠。
本部と加盟店は一蓮托生
諸刃の剣という事を理解して欲しい。




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2019年01月18日付

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