転ばぬ先の杖

先日、保険屋より電話がありました。
「長くなりましたが無事に全て解決いたしました。お待たせしてすいませんでした。」 との事です。
私は「どうもありがとうございました。ご面倒かけました。私ではとても対応できませんでした。大変感謝しております。」 と伝えました。

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実は恥ずかしながら去年の8月に私は人身事故を起こしました。お客様を乗せたバスを運転中に。

ゴルフ場へ向かう為に、始発で数名のお客様を乗せたバスを途中駅で一時停める予定でした。途中駅で4名のお客様を新たに乗車させる為にです。
お客様が乗車しやすいようにバスを道路の左に寄せ停車しました。お客様が乗車している時に1人の小太りの男の人が話しかけてきました。

「あんた俺に車ぶつけて無視すんのかよ!」「ミラーが背中に当たったよ!!」との事です。

私はぶつけた記憶はありません。確かにバスを左に寄せる時にガードレールに座っている男性がいた事は覚えています。 歩道の方を向いて、背中を車道側に向けてガードレールに座っていました。

私は、仕事の途中である事と、当てた記憶が無いので「当てて無いですよ。」と言って、お客様を誘導していました。 そうしたら大声で騒ぎだし、廻りの通行人が全員振り向く状態で、「てめー車ぶつけておいて逃げるのかよ。」「警察に電話するわ!」 そう言って警察を呼び始めました。

私は当てたつもりはありません。でも絶対にぶつけて無いかと言われれば自信がありません。大きな車なので、ミラーを擦った位だと感触が無いので分からないのです。
停車時に車輛をガードレールがある左側に寄せた事も事実です。ぶつけた可能性は否定できません。自分に確信が持てません。 あいにく車載カメラは付いていませんでしたが、付いていても車両の側面なので写っていないでしょう。
乗車していたお客様は「当てて無いよ」と言ってくれましたが、当社の顧客で身内の証言になるので採用されませんでした。

お客様にはお詫びをして下車してもらい、当社のスタッフと代車のバスを急いで手配しました。
お客様は迷惑をかけて嫌な思いもさせました。結局ゴルフ場には遅刻はしましたが、ギリギリラウンドが廻れたことが救いでした。

もしぶつけていたら私は加害者ですから現場から当然離れる訳にはいきませんでした。
近くの交番から数名警察官が来ただけでなく、人身事故なのでパトカーが2台来て現場検証が始まりました。
本人は「背中が痛い」と言っています。
現場検証中に相手が「まだかよ。仕事あんだよ。早くしろよ」と何度も警察に言ってました。
私は相手に「すいませんでした」とお詫びを何回も繰り返す事しかできません。連絡先をお互いに交換した後に、「仕事がある」と言って相手は先に帰ってしまいました。
私はそれから人身事故の加害者として2時間近い事情聴取がありました。
警察から「数週間後に裁判所から行政処分や出頭命令があるかもしれません」と事故処理の警察官より言われました。
「何点切られるんすか?罰金幾らぐらいですか?」と聞いたところ、「何とも言えません。私が決めるわけでは無いので」と警察官は言っていました。 「必ず出頭命令があるのですか?」と聞いたところ「何とも言えません。何もない時もあります。とにかく私が決めるわけでは無いので」と再度言われます。
そりゃそうですよね・・・・・


本当に当てていたら心からお詫びしたいです。「当てて無い」と当初の私は責任逃れをしたのですから。
しかし当てて無いとすれば、「罰金払い・慰謝料払い・点数も切られて・裁判所に出頭させれて」・・・・・
悲しいのか・悔しいのか・申し訳ないのか・理不尽なのか・・・・ここまでくると自分の気持ちも良く分かりません。


相手の怪我は大したことは無いはずです。「医者に行ってもらって、私が自費で治療費払おう。こんな事で保険使って等級下がるよりは自分で処理した方が良いかな?」とも思いました。
理不尽な言いがかりであれば、これ以上の損失やダメージを抑えたかったのだと思います。 でも、もう自分の気持ちがついて行きません。 相手には再度お詫びの電話を入れて、私個人ではなく当社の加盟していた保険屋で全てを対応する事でご理解頂きました。


あれから5ヶ月も掛かりました。
行政処分や裁判所からの出頭命令は結局ありませんでした。
保険屋の話では治療に2か月掛かったそうです。
その後に保険屋の治療費と慰謝料に不服があり、交通事故処理の不服を届ける場所に訴えて、相手は弁護士を付けて保険屋と闘ったそうです。その応対で当社の保険屋さんは交渉にかなり時間が掛かったようです。

車道に背中を出してガードレールに座っている人に、停車寸前のバスのミラーが背中に当たった訳ではなく、かすった程度で、幾らの治療費と慰謝料が出たのか私には分かりません。

しかし今回ほど保険のありがたみを感じた事はありません。
金額だけでなく、貴重な時間も、精神的にも、保険屋さんのおかげで救われました。
保険は支払ってばかりで無駄な気がしていました。 でも改めて気が付きました。とても有意義で大事な商品ですね。

今回の事案はいろんな意味で勉強させられました。
いずれにしても軽率な気持ちで運転をしていた私に責任があります。相手に怪我をさせていたら心からのお詫びと猛省しなければいけません。お客様やスタッフにも多大な迷惑を掛けました。 反省しなければいけません。
皆さんも車を運転する時は安全運転で・・・



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2018年01月10日付

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