業界のシュリンク

日比谷にある、インドアゴルフレンジが先日閉鎖されました。 ゴルフシミュレータ―を販売する会社が、フラッグシップ店舗として運営していた店舗です。
私も見に行った事があります。 綺麗な施設で10打席以上。ゴルフの雑誌や取材で頻繁に使われていました。 本音は「綺麗で大きくてうらやましい」・・・ しかし10年持ちませんでした。ライバルの店舗でありながらも、本音は残念でなりません。 「やはり難しかったか」と思っています。

インドアのセンサー付き練習場は、私がパイオニアである自負があります。 12年前にセンサー付きインドアゴルフ練習場は当店ぐらいしかありませんでしたから・・・
北海道から九州までの多くのゴルフ関係者やゴルファーの皆さんが見に来られました。 メディアの取材も多く受けました。その後、当店のような店舗は急速に増えました。


正直に言えば、インドアの練習場は儲かりません。 郊外に行けば300y以上ある大きな屋外の練習場もあります。それも割安に球を打つ事が出来ます。 したがって郊外では大きな屋外練習場が有利で、インドア練習場はビジネスとして勝負が出来ません。 今のところインドア練習場は都市部でのビジネスモデルでしょう。

しかし都市部では家賃が非常に高いのです。 坪単価の売上を考える時に約駐車場1台分のスペースで約1打席と考えます。 その1打席のスペースで最低月間30~40万以上は売らないとビジネスになりません。 ゴルフ練習場として1日あたり1打席1万円以上の売上げは結構ハードルが高いのです。
ゴルフ練習場の相場イメージは都内でも1時間1,000円位。従って毎日10時間は稼働させる必要があります。 ノルマは開店から閉店まで満員の必要があります。これは経営的に難しいですよね・・・

そこで安定経営するには打席単価を上げるしかない。練習場の打席単価を上げるにはスペースだけではダメで付加価値が必要。 だから打席にセンサーを付けたり、レッスンを付けたゴルフスクールに変えたりしなければいけないのです。

結局ゴルフ練習場だけでは運営が難しいので、ほとんどがインドアゴルフスクールになります。 PGAや各種団体がレッスンプロのライセンスを乱立させた事も、インドアのゴルフスクールが増えている理由でもあります。 10年前に比べてゴルフスクール(インドアスタジオ)は劇的に増えました。

問題はそこからです。

ゴルファーはシュリンク(減少)しています。当然ゴルフを習う人もなかなか増えません。 反面、資格認定のティーチングプロはこれからますます増えますので、ゴルフスタジオは増え続けます。 プロゴルファー達は自分の職域を確保するためにティーチングのライセンスを取るわけですから・・・
明らかに供給過多で需要と供給のアンマッチが生じています。

私は似たような状況のスパイラルに入った商売も別の事業として運営しています。
美容室・理容室・ネイルサロン・整体マッサージ・歯医者・・・・ 最近増えたと思いませんか?
全てライセンス(資格)商売です。
独立したい → 資格を取得する → 店舗を開業する
この流れです。

この後どうなるのでしょうか?
顧客数の割に、供給過多ですから、当然ダンピング(価格下落)が始まります。 10年前は髪の毛を切るのに5000円。マッサージを受けるのに1時間6000円。サービス産業は1分100円程度が相場でした。 それが今はどうでしょうか?

1千円カットはあたりまえ。整体などはも1時間2980円。相場感は10年前の半額です。 1時間3000円のサービスで日商幾ら稼げますか?
休憩も必要ですし、朝から晩まで引っ切り無しに顧客が来るわけじゃないですよ。 いくら仕入原価がほとんど必要なくても、家賃・広告費・運営費は係るわけです。 これではどんなに経営努力しても利益はほとんど出ません。

このような業界は既に限界に来ています。 これから廃業が著しく増えて淘汰されます。やがて需要と供給のバランスがとれて、 10年後くらいに店舗数も抑えられ、適正相場に落ち着くと思います。


どの業界も適正な競争・適正な価格があります。 そこのバランスが崩れたとき、業界の崩壊へのシグナルでもあります。その際にはイメージも含めて大きな痛手が伴うと思います。


ゴルフ業界の話に戻します。 ゴルファーはシュリンクしています。これから著しく増える可能性は皆無です。 日本の人口が減り続けていのですから当然です。 トーナメントで稼げないゴルファーは皆ティーチングへ入って増え続けます。 厳しい競争の中で、人を惹きつける才能が無いプロゴルファーは食べられません。

自分達への戒めの意味でも書いておきます。

練習場は・・・・
綺麗なだけでもダメ。安いだけでもダメ。最新の設備だけでもダメ。いつでも利用できてもダメ。

不思議なもので、いつでも利用できる空いてる練習場より、なかなか入れない混んでる練習場の方が新規客も増えます。 いつも満員でなかなか打席が使えず不便なのに、顧客はその状況に心惹かれます。集団心理で安心なのでしょうか? 人が多い方が楽しそうに感じますか。とにかく必ずしも便利な方が商売的に有利では無いのです

ティーチングプロゴルファーは・・・・
上手に教える事が出来てもダメです。トーナメントの実績があるだけでもダメ。

教えるのが上手くなくても、試合の実績が無くてもいいんです。 「そこはこうやって」「そこは違う」などと上から目線で教えるプロが多すぎます。 出来ないからスクールに来ているのですから。生徒が上手に出来ないのは当然なのです。 生徒が出来なければ、毎回教え方を変えて、言葉を変えて、 なんとか理解してもらえるように、生徒個別に一緒に汗をかいてくれる事。 ラウンドレッスンする時も、生徒をゴルフ場でお迎えしてくれる。帰りはお見送りしてくれる。 お客様に対して「ありがとう」という心が見えるプロゴルファーだけが生き残ります。
本当のサービスとは技術ではありません。人と人、心の刺激なのです。

ゴルフ練習場もティーチングプロゴルファーもお客様の支持を受けてこそ営業が出来ます。

お客様が潜在的に求めている物(目に見えない欲求)を提供できること、 楽しさ、心の豊かさ、満足度を満たせる事が出来るかどうか?
それが分かっていることが生き残る為の術であるような気がします。

BOXGOLFは10年を経過して、次の10年に向かって進んでいます。
ゴルフという遊興を提供する我々の使命は、お客様にワクワクや感動や面白いことを提供し続ける事。
お客様が想像できる事、世の中に存在している物だけを提供していてはダメなのです。 何故ならそこには「高い・安い」という価格の概念が常に顧客に生じます。 そうなるとネット通販のように消費対象は価格訴求(コストパフォーマンス)という概念になってしまいます。

お客様の想像の先、「こんな商品があったのか?」という事を創造する事がサービス企業の使命なのだといつも思うのです。 ゴルフサービス業のパイオニアとして、時代や相場は我々が先行して道を作る。
傲慢に聞こえるかもしれませんが、「想像を超えるものを創造する」その心意気でゴルフ業界を盛り上げて行かないといけませんよね。




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2019年12月29日付

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